続篇 巻之八十ニ 〈4〉 いなば小僧 その2

前編巻之九に、いなば小僧と呼ぶ盗人の事を云った。
このいなばとは、淀の稲葉氏領邑の出身だからという。

またわしは嘗て、もと番頭だった故仙石和州〈和州は淀候から仙石氏へ養子となってその家を継いだ〉と懇意の間柄だったが、かの家中の少女を和州が請けて小姓に置いた。

これが語るのは、この盗人は、幼年2、3歳ばかりの頃、三月ひな祭りの棚に取り付き、立って、下の棚にある煎豆が入った重箱を右手でつかみ取り、左手で取った痕がわからぬ様にして元に戻したという。

その時、居合わせた者共は「怜悧な小児だな」と云っていた。

後に話をすり合わせていくと、『栴檀(センダン)は二葉から香ばしい』と云うが、反(ウラ)の事であったと。
果たして大盗人となったのだと。

人みなため息をついた。
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