続篇 巻之四十一 〈8〉 寄木

蕉堂曰く。
日頃松波亀太郎のもとで、寄木を見た〈松波氏は御小姓組番士で蕉堂の末娘の婿である〉。
その木は、心(しん)に吉五郎と云う5字が正しく明らかに分かる。

割れ目より窺うと、黒い処は薄さ1歩ばかりもあるようだ。

如何にも偶然と程よくその中を割ると、2つに分かれて一方は左文字である。またその字の通りの木の理は、節の様に成っている。
珍しい。

これは去年〈己丑〉、小日向袋町に住む小普請士の三橋末松と云う人の宅地にある楓の樹を、伐って薪にして採り出せると云う〈三橋氏は松波氏の婿と云う〉。

昔月光院殿降誕なさった時に、その家で薪を割るのに、天下一と云う文字が現れたと伝わる事。
妄誕(あるはずがない)と言えるだろうが、この木の字を観れば、有るまじき事とも言えず。
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