巻之14 〈10〉 花火

方今都下の繁盛何事も余国は及ばない。

遊戯の事はなおさらである。
ただし煙火戯(はなび)のみは他国の方遥かに優れる。

都下は火厳禁であり、花火商売の者には定制(一定の決まり)を立てられるので、大きいことは為すことは出来ない。
都人が今普通の花火を大造(たいそう)なものだと思うのは井蛙の見方である。

国々で様々異同もあっても、近頃相州(相模国)で豪民等が催すのを見た物語を聞くと、(その花火の種は)富士の巻狩り、大名行列、新吉原中の町の夜景、その他数種である。

大凡(おおよそ)その幅10間位の処へかねて仕掛けて置いて、人が寄らないようにして、夜に入り人を集めて、竹の欄干などをして人が近付かないように設けて火をさすとのこと。

譬(たと)えば富士の巻狩りだと、古松の数丈のものに旭日の仕掛けをして、それから山形が現れ、その麓に人馬諸獣疾走の様子を幻出する巧思、驚き入る計の由。その余はこれを以て類推するように。

火禁無きなので限りも無く大造に巧を竭(つく)し設けるとのこと。
また林叟の話。
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