2021/04/04
巻之14 〈12〉 太田猪兵衛
姫路酒井家の老臣に、近頃太田猪兵衛がいる。林の門である。
その祖は、忠清雅楽頭(うたのかみ)の時に、児(ちご)小姓で齢僅か15、6歳、振り袖で勤めた折から、世人が知る伊達家の諸士、かの邸で騒動に及んだとき、原田甲斐が血刀を振って奥の方へ切り込んだのを、太田はその所へふと行き掛かり、甲斐を討ち留めたと云う。
これに因んで忠清は取り立てられ、遂に家老となって、その子孫は世職となったという。
その頃の風俗児小姓さえもこの様に気(け)なげなることであると〈林話す〉。
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