巻之14 〈12〉 太田猪兵衛

姫路酒井家の老臣に、近頃太田猪兵衛がいる。
林の門である。

その祖は、忠清雅楽頭(うたのかみ)の時に、児(ちご)小姓で齢僅か15、6歳、振り袖で勤めた折から、世人が知る伊達家の諸士、かの邸で騒動に及んだとき、原田甲斐が血刀を振って奥の方へ切り込んだのを、太田はその所へふと行き掛かり、甲斐を討ち留めたと云う。

これに因んで忠清は取り立てられ、遂に家老となって、その子孫は世職となったという。
その頃の風俗児小姓さえもこの様に気(け)なげなることであると〈林話す〉。
関連記事
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

プロフィール

百合の若

Author:百合の若
FC2ブログへようこそ!

検索(全文検索)

記事に含まれる文字を検索します。

最新の記事(全記事表示付き)

訪問者数

(2020.11.25~)

ジャンルランキング

[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
1143位
ジャンルランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
歴史
157位
サブジャンルランキングを見る>>

QRコード

QR