2020/05/27
巻之一 ニ三 沢庵和尚の話し
品川の東海寺に沢庵番というものがいた。
これは寺領の農夫が夜毎に寺の門という門を守って居ったはなし。
その由来を聞くと、沢庵和尚は高徳な方で政に帰依され、大城へも召されるし、又寺へもお立ち寄りになる事も度々になると。
沢庵和尚はとにかく永住を望まれない。
時には寺を去ろうとなさる。
公はこれを憂えて、人を使って、警護と称して出ていく事をとどめた。
ついに沢庵の遷化(せんげ、高僧が亡くなること)の後も例となり、永く続けている。
今親しくしている農夫に、どうしてよる夜寺門を守っているのかと聞くと、わしたちが守らなければ、沢庵さまが逃げ出されるからと応える。
農民の愚直だけれども古色のある風は、実に愛すべし。
- 関連記事
-
- 続編 巻之16 〔15〕 夢窓国師、天祥寺関山国師の話し
- 巻之一 ニ三 沢庵和尚の話し
- 続篇巻十六 六 上総屋今助
スポンサーサイト
コメント