2021/04/15
続篇 巻之41 〔16〕 柳蟲(ヤナギノムシ) 串団子
5月の中頃、浅草邸へ往く途中賤商があった。小箱を負って(道行く人を)呼んでは曰く。
「柳蟲!柳蟲!」。
わしは人を遣わして問うた。
「箱の中に貯まった蟲は幾らするか」。
答えて曰く。
「2束〔2百の洒落〕ばかり」。
また問うた。
「何処から(柳蟲を)採って来るのか?」。
答える。
「千住の田舎で探して採って来るのものです。都下の蕃昌(はんじょう)も、このような物さえ求める人が有れば、商売になるのです」。
さらに続けた。
「世の串刺しの団子は、一串に5団を刺すことが当たり前でした。
で1団一銭で売るようになってましてね(つまり1串5銭で売っていた)。
ところがこの頃は、一串4団を刺すことに成ってますね。
なぜかというとな、明安の頃*四当銭が出回って、群雄の間は四当銭で欺むかれたんですよ(つまりは4銭で5個の団子を売っていた)。
售(売)る者がこれを知らなくて、後で悔やんだのなんのって。
それで一串四団にして邪沽(やこ、損するの意味)の患(被害)を免れたんです。
これからは1串4個の団子が当たり前になっていくってもんです」。
*四当銭~4文通用の銭貨。四文銭。
(注)Wiki 団子よりの記述あり(下記)
従来1個1銭、一串5個で5銭だった団子を、江戸時代に四文銭の流通を受け、詐欺を防止するために銭に合わせて4個にしたという説と、支払いの利便性のために銭に合わせて4個にしたのが発端であるとする説がある。静山松浦清の「甲子夜話続篇3続篇巻之四十の一六条 柳蟲、串団子」によれば、「群雑の間に四当銭を使って一串に交換する詐欺(少し大きい4銭玉と少し小さい1銭玉を重ねているようにみせかけ、実は4銭玉しかない)が横行し、悔しい思いをした。それならば最初から4個で4銭にしておけば、悪いことをしようと思う気持ちを起こさせずに済む。これが世上一般に及んだ。」とある。
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