巻之一 〈九〉 干菜山十連寺の謂れ

神祖(家康公)が武州川越辺へ御放鷹の時に、小庵に立ち寄られた。

住僧が出て迎え奉った。

野僧の質朴さ、御意に叶い、御話の御相手となってすこぶる御喜びの色である。

ややあって僧が申し上げるには、庵が貧しくもとより名もないと。

願わくは寺号山号を賜りたしと言上すると、神祖はその辺りを見渡したまいた。

軒に干菜を縄に貫いてその数は十かけているをよく御覧になって、「干菜山十連寺」と称せよ、と仰せになった。

寺領の御朱印をさえ賜れた。

それで今に至りて、この寺は相続され、その号を崇称する。

まことにかしこくもその御気性の快活なこと、欽仰し奉る。

 

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コメント

No title

そんなことのようですから(・・)…
古来よりの神仏とされているものは その時の権力の人が作って来て…
あれもこれも、ほんとの悟りのことは(・・;)と
そんなことを思ったのでした🌌 
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