巻之19〔25〕  諸家の模範  その13

 久松両家ともに、広間に士が見えない。
客の使いあれば、何方からか広々した所へ一両人出て取次ぎをする。
備前の家中で、汁振る舞いと云う事、今にむかしのかどがある。
肴でも何にでも、珍敷(めずらしき)品をうるとき、汁を拵えて御越し候と心やすい方へ云い遣わすと、面々は膳を拵え、小さな飯櫃の上にのせ、手前にあり合わせのものなどを取り揃えて持いき、あつまって喰う。
無造作で、在番の者も度々寄り合う。これによって、古老の物語を思い出して、吸い物のおこりは、大名がたが漁猟に出て、獲物をしるにして、吸い物を下され、供の者へふるまうと、みなわり籠を持ち寄り、その鍋の辺りに行って食べたよし。
今の人は酒のときのものと心得て、小付食は古風さが残る、と云うことをしらぬ人が多い。

 加賀守殿は城下に止宿をしない。
拠らず止宿のときは野陣の格で、宿の両出口に物語宿をとり、足軽下宿で鼻紙1枚を壁に付け、武器をたてかけ、その前に股引きのまま起居する。
割宿はよき宿で、大成宿の構いがなく、押し合いの都合よい様にわり付けている。
料理などは悪敷(あしき)と、やどの者をしかること末々までない。
物音をたてることは堅き法度で、勝手に騒げば、自身にまわる。
頼んで静かにする。
その宿所で噪敷(さわがしく)すれば、即座坐に厳敷(きびしく)申し付けるよし。
弓鉄炮の者は、迎として30日程以前に上田まで参って待って居る。
軽井沢では遊女があるので宿しない。
程を見合って、軽井沢へ参り居る。
 江戸よりは、確氷(うすい、確氷川流域の山間地)の手前まで参って帰る。
 御関所は、武器を通すことは禁制によって、左様に致されるよし。
城主から出役の人へ下々迄賜物あり。
盗賊は不意のことで、第一に備え置くことになるが、領主の世話にこの様にならずと賜物はなきよし。

 松平伊賀守殿元祖は、自身で髪を結われるので、その家中今に至り、過半にみずから髪をゆう。
外では、髪結いを屋敷へ入れるのも由、あり間敷ことである。
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