続篇 巻之十 〈五〉 「明石の浦はいかに」

一日瞽者が『平家』をかたるのを聞き、鱸(スズキ)と云う句の中に
ある時忠盛は備前の国より上られて、鳥羽院は「明石の浦はいかに」と仰せられると、忠盛はかしこまって、
 有明の月もあかしの浦は風に
      波ばかりこそよるとみえしが
と申されると、院は大いに御感動され、やがてこの歌は『金葉集』に入れられるだろうと云われた。
『金葉集』を見ると、月のあかかりける比(ころ)、明石にまかりて月を見てのぼりたりけるに、都の人々、月はいかにと尋ねければ、
            平 忠盛朝臣
 ありあけの月も明石のうらかぜに
       なみばかりこそよると見えしか
季節を吟じる標注に、ありあけの月も明石では、波ばかり寄(よる)とそえて、夜とは見えなくて、ただひるの様にあかかりし(明るし)という心であろう。

この歌は『平家物語』にも書かれた。
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