2021/06/01
巻之30 〔2〕 名馬亘り
徳廟の御代に。亘りと云う名馬あったことはは既に記されている。
この頃また聞く。
遠く御成りの時に亘りにめさるようと仰るので、御馬役の者は、「亘りはかんが強いので野辺にはご無用でございます」と申し上げるが、苦しからずとめされるが、果たして逸走してしまった。
野辺のことなので御供も追いつかなかった。
御かげを見失って衆みな色を損した。
このような中で、はるかの向うから戻る御様子が見えるので、人々の顔は喜びに満ちた。
思い思いにそばに駆け寄る。
時に上意あるときはいかにも善い馬である。
以来野辺には必ずこの馬を出させよとの御諚である。
この後はいつも亘りにめされたとのこと。聞き奉るも御英偶の御ことである。
- 関連記事
-
- 巻之30 〔4〕 蚊に悩む
- 巻之30 〔2〕 名馬亘り
- 巻之57 〔16〕 ミソサザイ
スポンサーサイト
コメント