巻之30 〔2〕  名馬亘り

 徳廟の御代に。
亘りと云う名馬あったことはは既に記されている。

 この頃また聞く。
遠く御成りの時に亘りにめさるようと仰るので、御馬役の者は、「亘りはかんが強いので野辺にはご無用でございます」と申し上げるが、苦しからずとめされるが、果たして逸走してしまった。
野辺のことなので御供も追いつかなかった。

 御かげを見失って衆みな色を損した。
このような中で、はるかの向うから戻る御様子が見えるので、人々の顔は喜びに満ちた。
思い思いにそばに駆け寄る。

 時に上意あるときはいかにも善い馬である。
以来野辺には必ずこの馬を出させよとの御諚である。
この後はいつも亘りにめされたとのこと。聞き奉るも御英偶の御ことである。
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