巻之96 〔20〕  米沢侯の家風に心打たれる

林子曰く。
人の応対ぶりは大事なるものである。

 聊(いささか)のことにもその程に協(かな)い、体(てい)を得るのは見るたびに聞くものである。
近頃米沢侯(上杉弾正大弼斉定)の招きに赴いたとき、談話の次いでに、この4月13日御大礼登城の咄が出た。
侯の言に、家督以来参視交替の都合で、これまで1度も堂上方を殿延で見たことはなかったが、この度初めて装束出仕の様子を見た。
その容止閑雅、周旋度に対して、行儀の整った所に感じ入ったと。
吾輩の冠帯は、野人の沐猴(もっこう、猿が冠を被って人真似をしている)のようで、冠すると云われたことが思い出されて、恥ずかしいと申されたのは殊勝に聞いたものであった。

 米沢の家は、3世以前鷹山と号され世にすぐれた人であったので、その後2代引き続き、その法を守りその風を継いで家声を墜させない。

 今も善政美事共に多い。
われは常に列侯の家を往来する中、実に推服するのはこの侯の家風だ。
いいたいことが沢山あるので、いつかまた記そう。
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