続篇  巻之20 〔14〕  事実でないことの取り扱い

 10月10日の夜、天文台の下の高橋氏の屋舗を猿屋町の方と御蔵前の方から大勢が取り取り囲んだ。
夜陰のことゆえ灯蹬夥(おびただ)しく、その中には御紋の高張も見えた。
やがて高橋の屋舗から、青網をかけた駕(かご)がかき出ていった。
この駕を大勢で警固していった。
そのあたりの町人どもが驚いて見てい者が語った。

 「この頃聞いたんですがね。天文方高橋作左衛門さんは、何か御尋のことがあって、揚がり坐敷に入られたそうですよ。駕の人は、この人でしょうね」。

 わしはかつてこの人から笙を学んだが、何か罪はあるだろうが、不憫に思う。
如何なることを為したのか。
日頃処々の取沙汰は色々耳に入ってくるが、事実を聞かないので、記さないでおく。
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