続篇 巻之七十七 〈三〉 うみうそ

平戸のある画工が描いた一図を示す。
写真の図は天保三辰正月の初、平戸城のきたの釜田浦横島と云う処で捕らえた。
海獣である。
生魚を食べて死魚は食べない。
けれども飢えていると、死魚も食べる。人はその名を知らない。
ある人が云うには。
水豹だろう。漁師はこれを売って、金四両に替えたと。
後、ある本草家に質をして、その意を得たという。
詳しくは以下の通り。
このケモノ、その顔面は鹿に似ていてどう猛ではない。
色は灰黒色である。毛は長くない。つみげ(動物の毛の長さをそろえて、袋などに作る)は、柔らかい。
ひれ肉に毛がある。
大筋は五条あって、人の手の様に屈曲する。その五筋の先に小爪がある。
陸を歩む時、このひれを手の様にしてよく走る。
その尾ひれ、また足の様にして走る。
その尾ひれもまた前ひれの様に五筋あって、左右に分かれて付いている。その中央に小さな尾がある。
生魚を取って食べるは、海中に死魚がないということ。
だから生魚を好む。

漢名 海獺(ウミウソ)    和名うみをそ

このうみをそと云うものに二種ある。
気褐色のものを『とど』と云う。
佐州(佐渡)はとどの島が最多い。
灰黒色のものを『あしか』と云う。
相州(相模)はあしかの島が多い。
二種共によく眠ることを好む。
国によって黃褐色のものをも、あしかと云う処がある。
その大きいものは、一丈(3㍍)位に至るものがいる。
その肉は煎って油をしぼる。油が多い。また味噌漬けにして炙って食べる。
『本草』にある。
大獺、海獺と云うも同じものである。

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