続篇 巻之五十八 〈六〉 御石火矢台(大砲)

長崎港は異舶が入津する処で、山岸三囲、ただ一方が通じる。
その岸に砲場を七処に置き、大砲を設けた。
御石火矢台という。場に地形の高低はあるけれども、その設備は一つである。
この場は、昔年わが天祥院忠志の旨を申し上げ給い、官の許しを承りこれを設け始めたのだ。
また今年天保辛卯には、紅毛の貢物を保護して長崎の小通詞今村四郎という者が出府した。
わが荘に識る者があるので訪れた。その間の話に曰く。
長崎の御台場、近頃福岡、佐賀の両侯より修繕を加えられるという事、石垣を高く築き上げられて、見分けは立派に見えるが、この頃入津の蛮長(カピタン)が語るには、砲台高壮といえども、もし砲を発しても届かないし、船舶には当たらずみな上を超えるだろう。
古い昔の砲台のごときは、ことごとく船舶を的にしながら失鉛(アダヤ)である。
清(わし)は思うに、天祥公は武器の備えに長しながら、かつ官家に忠義なること、今に至って益々その遺念の在る所を知る。
残念なことには、筑前の両侯は見分けを専らにして実用に及ばず。
あまつさえ蛮奴の笑いを招く。嘆かわしい。
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コメント

No title

見栄えを良くして実用を疎かにするようなことは身の回りでもあったのですが、異見を云うと、「見た目が大事」のようなことを云われた記憶があります。ひとに例えれば、長く耐えられて保つのが良いように思います。☘️

No title

和賀 さん
ありがとうございます。勉強になります。
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