巻之27 〔9〕 為方ないけれども、鼠害にどう対策するか

箭(や)の鏃(やじり)をゆるくはめるのは矢がら落としと云う。
これは射て中(あた)れば、幹はぬけて肉中の残り、遂に人を害すとなる。
信玄の毒箭は、これに毒を施したもので不仁(慈愛の心がない)の極みである。
故に神祖がこれを禁じられたのは、天下を知らしめさせるべき御大徳にこそである。
因みに云うと。
先年同席の人吉侯世子懇交したとき、わしは猫を憎むと云ったら、答えに猫をとるには法があると笑うので、如何すると問うた。
すると吹き矢の末をとがらせずに削って、この先はに縫い針の細いのをさして置くという。
これを吹けば、矢が中ると竹の末が尖っていないので、矢はぬけて、針のみ肉中に残る。
遂に肉中にあって、猫は必ず病んで死すと云うのは戯言で、大小の弁はあっても、この心得は不仁の事なので、人の為すべきこととも思われない。
また鼠を駆除するに、砒毒(ひ素)を餌に混ぜて喰わせる売薬が世にもてはやされている。
これも鼠害の甚だしさによるもので、為方(仕方)無くすることだけれども、実はおもしろくない法なのだ。
 
*静山公は動物を傷付けるのは不仁、人にあるまじきことと申されますが、鼠毒には当時の人々が大変悩まされていたのが伝わってきます。
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