三篇 巻之74 〔1〕 猫の流行病は何ゆえか

 傍の婢が語る。
 今より34,5年ほど前の事で(文化元年(1804)より、至ること38年)、昨冬は雪が殊に降り続いた。
菘(スズナ)は悉く腐れ枯れて、みな無くなってしまった。
つまり翌春のことだが、小鰕(エビ)が夥しく寄り集まって、漁家は日毎利潤を得ている。
坊間(ぼうかん、町の中)も価格が安ければ、人はこれを喰う。
だがこれを食すると、みなその殻は戸外に奔つのを、猫は幸いとこれを喰っていた。
さて、その年の気候のせいか、または畜類の疫のせいか、飼い猫野生の距てなく、道路牖(垣)間に倒れて感染するもの、その数は増えていった。
 だがこの年、人はかえって恙(つつが)なし。
これ等は如何なる故なのか。
医者、本草家、博識の人に問うしかないだろう。
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